動物に負担の少ない健康管理や病気の早期発見を目的に、
従来は、ジャイアントパンダの検査(血液検査、レントゲン検査など)を行うために、全身麻酔をかけていました。しかし、麻酔による検査は、身体的な負担や精神的なストレスが大きく、頻繁に実施することは困難でした。アドベンチャーワールドでは、動物に負担の少ない健康管理や病気の早期発見を目的に、2008年よりハズバンダリートレーニングを取り入れ、2009年1月に「永明」で初めての採血に成功しました。現在では採血、採尿、血圧測定、レントゲン撮影、口腔内確認などの健康管理、レーザー治療や点眼などの治療、そして外陰部の検査や繁殖など多方面で応用ができています。
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ハズバンダリートレーニングとは?
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ハズバンダリートレーニングとは、『受診動作訓練』のことで、動物側に協力してもらいながら、医療行為や世話を行うためのトレーニングです。
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採血方法によるストレス度の比較
麻酔下と無麻酔下での「永明」の血中ストレスホルモン(コルチゾール)を測定したところ、麻酔下の平均5.3μℓ/dℓに比べ、無麻酔下では0.5μℓ/dℓと有意に低値であり、無麻酔(トレーニング)での血液採取のストレスが低いことを示唆しています。
実施項目一覧
項 目 | 目 的 |
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血液採取 | 健康)血液学検査、一般生化学検査 繁殖)ホルモン検査 |
新鮮尿採取 | 健康)尿性状検査 繁殖)ホルモン検査、膣粘膜剥離細胞検査、精子確認 |
開 口 | 健康)口腔内検査(摩耗、歯肉炎など) |
レントゲン撮影 | 健康)胸部、腹部、骨格検査 |
生殖器観察 | 繁殖)オス:睾丸サイズや硬度の測定 繁殖)メス:陰部サイズや色調測定 |
治療関連 | 健康)点眼、角膜損傷や瞳孔の検査、レーザー治療 |
●血液採取
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① 採血用の檻に移動
② 採血できる位置に座る
③ 手を出してバーを握る
④ バーを握ったまま手のひらを上に向ける
⑤ 肘の位置で駆血(血管を分かりやすくするため)
⑥ 採血
●その他の健康管理
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尿採取
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レントゲン撮影
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血圧測定
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口腔内観察