竹を中心とした飼育管理

ジャイアントパンダの食事の内容を見直し、
竹を中心とした食事とすることで
健康な状態で飼育管理を行っています。

1994年の飼育開始当初に与えていた1日の食事は、とうもろこし粉、ふすま、馬肉、卵などで作ったパンダ用特製団子1.3㎏、リンゴ1㎏、牛乳1ℓと栄養価の高いものでした。そのためか、主食であるはずの竹は1日に2~5kgしか食べませんでした。オスの「永明」は搬入時より、食欲不振や頻繁な粘液排泄、そして下痢などの症状が認められたため、慢性胃腸炎と診断して投薬治療を行いましたが、顕著な改善は認められませんでした。搬入時には88kgあった体重が、成長期であるのに1年間ではほとんど増えず、「永明」を健康に飼育することが緊急課題となりました。

  • 栄養価の高い飼育開始当初の食事(2歳)

  • 竹中心の現在の食事(2歳)

永明の体重と月平均糞量の推移

成都ジャイアントパンダ繁育研究基地や消化に関する共同研究先の北里大学と協議し、高糖質・高脂肪の食事から繊維質の多い食事に変更して、竹の採食量を増加させました。1998年より体重が順調に増え始めて、130㎏前後で推移しました。1998年にはニンジンを、2001年にはリーフイーター用のビスケット(Mazuri® Primate Browse Biscuit)も取り入れました。竹は主として孟宗竹を与えましたが、嗜好性が悪くなる夏季には唐竹・女竹・矢竹・根曲竹・蓬莱竹など多種類の竹を準備して、竹の採食量が減少しないように管理しました。2009年より2歳以上の個体にパンダミルクの給与を中止してからは、成獣個体はほとんど消化器系の疾病にかかることもなく、健康な状態で飼育管理ができています。