アムールトラの赤ちゃんが2頭誕生!世界の動物園の協力で未来を紡ぐ
アドベンチャーワールドでは2024年5月19日(日)に、アムールトラの赤ちゃんが2頭誕生しました。誕生後、母親が赤ちゃんを育てる様子を観察カメラで見守っておりましたが、6日齢に育成状態を確認するため、体重測定を行ったところ想定体重に達しておらず、また、1頭に低体温が確認されたため授乳量が不足していると判断し、2頭を人工保育へと切り替えました。現在はワイルドアニマルメディカルセンターにてスタッフが赤ちゃんに人工ミルクを与えています。昨年パークではこの両親の間に14年ぶりとなる赤ちゃんが誕生しましたが、残念ながらまもなく死亡しました。今回誕生した2頭の赤ちゃんが無事に成長し、次の命へと繋げていけるようサポートしてまいります。
【アムールトラの赤ちゃんについて】
■出生日
2024年5月19日(日)
■頭数
2頭
■体重 ※6月7日測定
1頭目:2500g、2頭目:1690g
■親情報
父親:2017年6月15日 ハーゲンベック動物園生まれ(6歳)
母親:2018年5月 2日 ソウル大公園生まれ(6歳)
※今後、雌雄判定を実施する予定です。
※現在、赤ちゃんはバックヤードで過ごしているためご覧いただけません。
※公開時期は未定です。決まり次第お知らせいたします。
〈出産までの経緯〉
2024年2月に交尾を確認し、3月のエコー検査で妊娠が確定し、その後母親の様子を見守ってきました。5月18日の夜、食欲の減退や落ち着きがなくなるなどの出産兆候が見られ、翌日の5月19日に出産しました。1頭目は生まれてすぐに元気に動き回る様子が確認でき、その約3時間後に2頭目の赤ちゃんが誕生しました。
2024年2月1日~6日 交尾確認
2024年3月5日 胎児・心拍確認
2024年5月19日 誕生
〈今後の展望〉
2019年にオス、2022年にメスを海外から搬入し、繁殖に取り組んできました。2頭の相性もよく、今回の赤ちゃん誕生に至りました。引き続き注意深く観察を行い、健康を保てるよう努めてまいります。アムールトラは絶滅危惧種で、世界の動物園で個体の血統管理がされています。今後、生まれてきた子どもたちも国内や世界に羽ばたいて命を紡ぎ、アムールトラの明るい未来に貢献して欲しいと願っております。
【世界と協力し、アムールトラの繁殖に取組む】
アムールトラは中国東北部~シベリアに生息するトラで、野生での生息数は500頭程度と言われており、世界動物園水族館協会(WAZA)が国際種管理計画(GSMP)の対象種のアムールトラを選定し、世界中の動物園が協力 して種の保存に取り組んでいます。
国内で飼育されている個体だけでは、遺伝的多様性を保ちながら種を保存していくのは難しく、国際種管理計画に基づき、オスを2019年にドイツのハーゲンベック動物園から、メスを2022年に韓国のソウル大公園からそれぞれ受け入れ、今回の赤ちゃんの誕生に至りました。
〈アドベンチャーワールド アムールトラ飼育・繁殖について〉
1994年10⽉ 飼育開始
1996年 7⽉ 繁殖に初めて成功(以降2009年までに13頭が誕生し4頭育成)
2023年 5月 14年ぶりとなる赤ちゃんが誕生するも死亡
2024年 5⽉ 赤ちゃん2頭が誕生
・繁殖数:8回の出産で、計18頭の⾚ちゃんが誕⽣(今回の出産含む)し、4頭育成
・飼育数:5頭(オス1頭・メス2頭・今回誕生した2頭)
【アムールトラについて】
■分類
食肉目ネコ科
■学名
Panthera tigris altaica
■英名
Amur Tiger
■生息地
中国東北部~シベリア
■食性
アドベンチャーワールドでは馬肉や牛肉を与えています。
■繁殖
約100日の妊娠期間の後、1度の出産で1頭~6頭の子を出産します。生まれたてのトラは体重 1kg 前後で目も開いておらず、未熟な状態で産まれます。幼獣は生後10日前後で目が開きますが、その後の離乳や狩りの訓練など、生きていく術を身に着け、母親から独立できるまでは2年程かかる場合があります。
■寿命
飼育下での寿命は20~25年です。
■特徴
アムールトラは最も北に生息するトラです。単独行動で、60~100㎢もの広い縄張りを持ち、一晩に10km以上、時には40kmも歩き回って狩りをする夜行性の肉食獣です。トラの毛皮や骨は、装飾品や漢方薬の材料として高値で取引され、密猟が多くなり、 アムールトラの個体数が減少しました。国際自然保護連合(IUCN)はアムールトラを絶滅危惧種(EN)に位置づけました。