アドベンチャーワールド × 近畿大学キングペンギンの人工授精に成功しました!
アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)は近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)および先端技術総合研究所(和歌山県海南市)との共同研究において、国内で2例目(※)となるキングペンギンの人工授精に成功しました。2020年1月31日に誕生した赤ちゃんのDNA鑑定の結果、父親は精子を提供したオスであることがわかりました。現在赤ちゃんは母親と育ての父親とともにペンギン王国で過ごしています。
※1例目は鴨川シーワールド(2019年4月発表)
【人工授精をする目的】
自然繁殖のみでは、特定の遺伝子に偏るなどの問題があるため、ペンギンの羽数維持、遺伝的多様性を保つためには人工授精の技術も必要となります。今後も、自然繁殖と人工授精の併用を進めていき、飼育下における種の保存への貢献につながるよう努力してまいります。
【キングペンギンの赤ちゃんについて】
■出 生 日:2020年1月31日(金)
■孵化日数:56日
■性 別:メス
■出生体重:207.2g 現在は1760g(3月2日測定)
■公開場所:ペンギン王国2階
※動物の体調により、公開時間を変更または休止する場合がございます。
■母親 :2002年2月10日 アドベンチャーワールド生まれ(ペンギン王国で飼育)
■精子提供オス:2013年2月15日 アドベンチャーワールド生まれ(海獣館で飼育)
【近畿大学との共同研究について】
2017年、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学(大阪府東大阪市)とアドベンチャーワールドがタッグを組み、展示・希少動物の繁殖のための共同研究をはじめとする産学連携に関する協定を締結しました。遺伝子工学や発生工学を駆使した動物生命科学に特化した研究を行う近畿大学生物理工学部および先端技術総合研究所では、精子等の遺伝資源の様々な保存技術開発に取り組み、その研究において、入手困難な野生動物の検体やその遺伝資源の確保を進めていました。一方、アドベンチャーワールドでは、飼育下で繁殖が困難な鯨類(イルカ・クジラ)と、高齢化が進むキングペンギンの精子を人工的に採取する技術を確立していましたが、人工授精につながる、精子の運動性を維持した精子凍結保存方法の開発を必要としていました。両者の想いが合致したことから、新たな共同研究の開始に至り、今回はその第一歩として、近畿大学先端技術総合研究所のアドバイスのもと、凍結保存していない新鮮な精子を用いたキングペンギンの人工授精を試みました。精子の活性を維持させる既存の鳥類用精子希釈液を改良し、これを用いて希釈した精液を排卵期であると予想されたメスの総排泄腔(鳥類の生殖口)へカテーテル挿入を行いました。その結果、キングペンギンの人工授精に成功しました。
現在は、開発したキングペンギン専用の保存液を使用した精子の凍結保存まで完了しており、これを用いた人工授精の成功を目指し、取り組んでいます。