パンダバンブープロジェクト

竹をパンダの食事として活用することで里山の環境を守りつつ、
パンダが食べない竹幹などを有効資源としてアップサイクルして
社会課題の解決を目指しています。

パンダを飼育する上で、良質の竹を確保することはとても大切です。1994年の飼育当初は、飼育頭数が現在よりも少ないことや、竹よりパンダ特製ダンゴを中心に与えていたので、白浜町近隣での竹の採取で十分賄えていました。しかし2000年以降、繁殖が順調で飼育頭数が増えたことや竹中心の食事にシフトしたことで、新たな竹の採取場所を確保する必要がありました。そこで2005年に、竹林の整備に取り組まれている岸和田市と連携することで、新しい竹の採取場所を確保することができました。現在では、年間約8tの竹の枝葉をパンダの食事として活用し、竹林整備と山の環境保全に貢献しています。反面、パンダが食べ残した竹や、パンダの食事として使用できない部分は廃棄するという矛盾もかかえています。こういった矛盾や課題を解決するために、パンダバンブープロジェクトを行っています。パンダバンブープロジェクトは、里山を荒廃させる竹をパンダの食事として活用することで里山保全に貢献するとともに、これまで廃棄していたパンダが食べない竹の幹や食べ残した竹、糞を有効資源としてアップサイクルし、社会課題の解決を目指しています。

岸和田市の竹林で竹資源の循環と、生物多様性を保全する森づくり

2011年から大阪府岸和田市と「岸和田丘陵地区における竹の提供に関する協定書」を締結し、岸和田丘陵地区内の市の所有する土地の竹を、パンダの食事として使用しています。 2020年には協定書の刷新を行い、パンダが食べ残す竹の有効活用により竹を利用した循環型社会の実現を目指して「SDGsパートナーシップ協定(通称:パンダ協定)」を締結しました。 2022年、事業者が環境保全の一環として「森づくり」に取り組むための「アドプトフォレスト制度」に参画し、岸和田市の竹林における竹の有効利用(竹資源の循環)や、生物多様性を保全する森づくりに取り組むこととなり、「アドプトフォレスト協定」を締結しました。

岸和田市・白浜町・株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)「パンダバンブーSmile広域包括連携協定」

  • 幅広い分野における相互の地域交流の活性化を促し、それぞれの資源や強みを活かして公民共創による地域のSmileを創造することを目的として、2022年8月に大阪府岸和田市と和歌山県白浜町、株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)は、パンダバンブーSmile広域包括連携協定を締結しました。地域資源の相互活用及び地域循環共生圏の形成に関する取り組みとして、パンダバンブーを活用したプロジェクトを開始しました。

  • パンダバンブータンブラー

    パンダが食べずに廃棄している竹を有効資源としてアップサイクルした、使い捨てしないリユースカップです。タンブラー製造には、アサヒビール株式会社とパナソニック株式会社が共同開発した”森のタンブラー”を採用し、“使い捨て”しない飲料容器としてプラスチックゴミ削減を目指します。

  • パンダバンブー
    モバイルワーケーションスポット

    滋賀県立大学陶器浩一研究室と共同で、サファリワールドに自然体験型竹製モバイルワーケーションスポットを企画・設営。岸和田市で竹を切り出し、枝葉はパンダの食事として利用し、幹や食べ残しの枝葉を素材として使用しています。

  • 竹工芸品×パンダバンブー
    コラボ商品開発

    京都の竹工芸職人と京都伝統工芸大学校の学生による「パンダバンブーリング」の販売やワークショップを開催。竹の文化や社会課題について考える機会になっています。今後、商品レパートリーも増やす予定です。

  • つながるSmile竹あかり

    パンダが食べない竹幹を活用して竹あかりを製作し、夜のパークに優しいあかりを灯しています。製作には社員、ゲスト、地域の方々に参加していただき、人と人がつながる機会となりました。さらに、竹あかりを設置するホテルも増え、地域でのつながりも増えました。

  • 南紀白浜パンダバンブーEXPO.

    「パンダのまち」として「パンダの竹」で未来を創る、日本から世界へ向けたアートとイノベーションの地域一体型イベントを2020年12月~2021年1月に開催。アートイベントセッションでは白浜町の主要な場所で竹やパンダ作品を展示。シンポジウムセッションでは、竹の研究者や建築家、アーティストによる竹の持つ可能性や価値・未来について講演を実施しました。